シワってそもそもなんなのでしょう。なぜシワなどというものが生じてくるのでしょう。子供の頃は気にもしなかったシワ。やさしいおじいちゃんやおばあちゃんのシワは、きっと元からあるもので、おじいちゃんとおばあちゃんは最初からああした姿でこの世にあったのだ、となんとなく思っていたあの頃。あの頃の私は、まさか自分がこんなシワシワになるなんて思ってもいなかった…。
たとえば今あなたが身にまとっているシャツを見てください。どんなに肌にぴったりフィットしているシャツであろうと、ちょっとひじを曲げるとそこには「シワ」が生じるはずです。一度シャツの袖を引っ張って伸ばして、それからひじを曲げてみましょう。そして再び腕を伸ばすと、そこにはシワが残っているはず。この「折りグセ」が皮膚にできたのがお肌のシワである、ということが言えるでしょう。
人間の表情は皮下の表情筋の運動によって起こります。表情筋が動くとそれにつれて、上に乗っている皮膚が連動し、表情を創り出します。にっこりほほ笑めば口元や目元にシワが生じます。お肌がまだ若いハリを保っている時期であれば、表情を元に戻せばシワも復元して消えてしまいます。ところが歳を経て皮膚の弾力が失われてくると、皮膚表面に「折りグセ」がついてしまって「消えないシワ」が残ってしまうようになるのです。
シワはその人の人生の履歴書である、という言い方をする時がありますね。なるほどたしかに、お顔のシワをつらつら眺めていると、その人がどのような生活態度でどのような人生を送って来たかが、おぼろげに浮かんでくる気がいたします。幸せな人生を送ってきた人のお顔に刻まれたシワというのは実に味わい深く、なんだかこちらまで、その人の幸せを分けていただいたような、ありがたい気持ちになるのは私だけではないでしょう。
一方で、暗く不満だらけの生活を重ねてきた人に刻まれたシワは、見るからに陰鬱で悲惨な印象を与えます。そのような険しいお顔は相手も暗い気持ちにさせてしまうでしょうし、何よりご本人の健康によいわけがありません。辛い時こそ笑い飛ばそう、という生活態度は、やはり正しい事に違いありませんね。また、将来シワが出来るのを恐れて、日々を無表情に過ごすべく苦労していらっしゃる若い女性を見かけることがありますが、これもいかがなものかと思いますよ。無表情というのは要するにコミュニケーションを拒否する態度であり、あなたが社会生活を続ける以上、決してプラスにはたらくとは思えないのです。